
こんにちわ、訪問ありがとうございます!
暫定版のご挨拶
小学校 算数の内容、5年生の単元と項目について 詳しくみていきますが、現在サイトリニューアル作業を控え、当ページは暫定版となります。
1~3年生分までのリニューアルと違い、【変化と関係】領域が入る4~6年生については、「割合」関係を中心に、 解説等の文章表現が大きく変更となる予定です。
まとめを始めた頃は、作成者の割合についての理解がまだ浅かったため、今までのまとめ方では、「割合」の一番根本的な部分の説明が抜けた状態で 表面的なことばかり記載しておりました。そのため分かりにくく、一部は誤解を招くような文も含まれる解説となっていました。大変申し訳ありませんでした。
よって解説や補足には大幅な修正が入る予定なので、「項目詳細」は高学年分はリニューアル完了まで公開中断としました。
一方、 学習内容の列挙である「単元と項目」については、大きく変わることはありませんので、公開中断ではなく、暫定版公開という対応とさせていただきました。
(※1~3年生同様、今後リニューアルに伴う「より分かりやすい項目の括り方や 項目名への変更」等は行っていきます。)
また、上記の「(作成者が思う)割合の一番根本的な部分」を含めた「割合について(暫定版)」を最下部に記載しましたので、通常版公開までの間、よろしかったらご参考にしてください。
「割合について(暫定版)」は、現在4~6年生共通で、全く同じものを記載しております。
ご迷惑をお掛けして大変申し訳ありませんが、よろしくお願い致します。
小学校 算数 – 5年生の内容領域
5年生で学習する領域は「数と計算」「図形」「変化と関係 (4-6年)」「データの活用」の 4つです。
※「測定 (1-3年)」はもう習いませんので「—」で記してあります。
算数5年生の単元と項目(暫定版)
以下より 単元と項目を 領域ごとに列挙してご紹介していきます。(暫定版となりますので、今後リニューアルに伴う内容の校閲・校正が終了しましたら、通常版に差替えます。)
まずは 各領域について「単元名」「項目名」「用語や記号」「捉え方・考え方などのポイント」が記載してあります。
最後が 学年を通しての「学習過程の活動例」となります。
※ 紹介内容の それぞれについての詳細は 冒頭部分に記載してあります。「捉え方・考え方などのポイント」と「学習過程の活動例」については、下部にも補足説明があります。
※ ご注意事項も下部にございますので、 ご一読ください。
数と計算
数と計算 : 5年生 – 内容
● 整数の性質と構成
- 偶数と奇数
- 約数と倍数
- 公約数と公倍数 および 最大公約数と最小公倍数
★ 捉え方・考え方などのポイント
- 乗法・除法に着目する
- 観点を決めて整数を類別する仕方を考える
- 数の構成について考える
- 日常生活に生かす
★ 用語や記号
最大公約数、最小公倍数
● 小数点と 整数や小数の表し方
- 小数点の位置と位 – 10倍・100倍・1000倍 および 1/10・1/100などの大きさ
★ 捉え方・考え方などのポイント
- 数の表し方の仕組みに着目する
- 数の相対的な大きさを考える
- 計算などに有効に生かす
● 小数の乗法・除法
- 小数の乗法・除法について – 「乗数や除数が小数」の場合の意味
- 「乗数や除数が小数」の場合の 小数の乗法・除法の計算(筆算含む)
- 小数の除法の余りの大きさ
- 小数の乗法・除法で成り立つ性質 – 整数の場合と同じであることの確認
★ 捉え方・考え方などのポイント
- 乗法・除法の意味に着目する
- 数の範囲を 乗数・除数が小数の場合まで広げて 乗法・除法の意味を捉え直す
- 計算の仕方を考える
- 日常生活に生かす
● 分数について
- 整数や小数の分数表記、分数の小数表記
- 整数の除法の分数表記
- 同じ大きさの分数と除法の性質 – 分子と分母に同じ数を乗除してできる分数
- 分数の相等や大小 – 約分・通分
★ 捉え方・考え方などのポイント
- 数を構成する単位に着目する
- 数の相等や大小関係について考える
- 分数の表現に着目する
- 除法の結果の表し方を振り返る
- 分数の意味をまとめる
★ 用語や記号
通分、約分
● 分数の加法・減法
★ 捉え方・考え方などのポイント
● 数量の関係を表す式
★ 捉え方・考え方などのポイント
- 二つの数量の対応や変わり方に着目する
- 簡単な式で表されている関係について考える
図形
図形 : 5年生 – 内容
● 平面図形
- 図形の形や大きさが決まる要素
- 図形の合同
- 合同な図形を並べて見えるもの – 敷き詰める操作を通して
- 多角形の簡単な性質 – 三角形の角の和と 他の多角形への発展
- 正多角形の基本的な性質、円との関連
- 円の直径と円周の長さの関係
- 円周率とは、円周率の使用 (円周率は 3.14 を用いる)
★ 捉え方・考え方などのポイント
- 図形を構成する要素や図形間の関係に着目する
- 図形の構成の仕方を考える
- 図形の性質を見いだす
- その性質を筋道を立てて考える、説明したりする
● 立体図形
- 基本的な角柱・円柱
- 角柱・円柱の構成要素について – 形やお互いの関係
- 角柱・円柱の見取図や展開図
★ 捉え方・考え方などのポイント
- 図形を構成する要素に着目する
- 図形の性質を見いだす
- その性質を基に これまでに習った図形を捉え直す
★ 用語や記号
底面、側面
● 平面図形の面積
- 図形の面積 – 三角形・平行四辺形・ひし形・台形の面積の計算
★ 捉え方・考え方などのポイント
- 図形を構成する要素に着目する
- 基本図形の面積の求め方を見つけだす
- その求め方を振り返り、簡潔で的確な表現に高めて公式として導く
● 立体図形の体積
- 体積の単位 – 立方メートル(m³)と立方センチメートル(cm³)
- 体積の単位とかさの単位リットル(L)の関係
- 直方体・立方体の体積 – 体積計算の意味
- 体積の単位について-長さや面積の単位との関係
★ 捉え方・考え方などのポイント
- 体積の単位や図形を構成する要素に着目する
- 図形の体積の求め方を考える
- 体積の単位と これまでに習った単位との 関係を考える
※ 数学的に「図形」とは、点や面や線や立体、またはそれらが集まったもののことを言います。
測定 (1-3年生)
測定 (1-3年生) : 5年生 – 内容
変化と関係 (4-6年生)
変化と関係 (4-6年生) : 5年生 – 内容
二つの数量の関係について
● 伴って変わる場合:比例の関係
★ 捉え方・考え方などのポイント
- 伴って変わる二つの数量を見いだす
- それらの関係に着目する
- 表や式を用いて 変化や対応の特徴を考える
★ 用語や記号
比例
● 比べる:割合
- 割合での比較と 基準の定め方
- 全体を基準にした割合について
- 全体を基準とした割合① – 基準量1と百分率での表し方
- 全体を基準とした割合② – 基準量1と歩合での表し方
★ 捉え方・考え方などのポイント
- 日常の事柄における数量の関係に着目する
- 図や式などを用いて ある二つの数量の関係と別の二つの数量の関係との 比べ方を考える
- 日常生活に生かす
★ 用語や記号
%
● 異種の二つの量の割合:単位量あたりの大きさ
★ 捉え方・考え方などのポイント
- 異種の二つの量の割合 即ち 単位量当たりの大きさ として捉えられる数量の関係に着目する
- 目的に応じて 大きさを比べたり 表現したりする方法を 考える
- 日常生活に生かす
※ 中学で関数に繋がっていく領域です。関数とはざっくりですが「定まった処理内容があって、処理内部の ある値を決めると その処理内容に従って 返る値も 決まった数が返ってくる その関係 」のようなものです。
データの活用
データの活用 : 5年生 – 内容
● データの収集と分析 および問題解決
- 全体を基準とする割合のグラフ化 – 帯グラフと円グラフ
- 帯グラフについて
- 円グラフについて
- 割合のグラフ 複数の比較について
- 統計的な問題解決の方法 – 解決過程内でのデータの位置付け、データに基づいて判断するということ
★ 捉え方・考え方などのポイント
- 目的に応じてデータを集めて分類整理する
- データの特徴や傾向に着目する
- 問題を解決するために適切なグラフを選択する
- 結論を 様々な見方で捉えて 考える
● 測定値の平均
★ 捉え方・考え方などのポイント
- 大まかに捉えることに着目する
- 測定結果を平均する方法を考える
- 学習や日常生活に生かす
☆学習過程の活動例
全領域共通 : 5年生 – 学習活動例
- 日常の事柄から 算数の問題を見つけ出して解決する、結果確認を行う、日常生活などに生かす
- 算数の学習から 算数の問題を見つけ出して解決する、結果確認を行う、さらに発展させて考える
- 問題解決の過程や結果を、図や式などを用いて数学的に表し、伝え合う
※補足説明&ご注意事項
【ご紹介内容の補足説明】
※ 「捉え方・考え方などのポイント」について:算数では 育むべき資質や能力の「3つの柱」の2つ目である「 思考力、判断力、表現力など」を伸ばすために指導することが、各単元ごとに学習指導要領で指示されています(算数の場合です、指示の出され方は教科によって違います)。その内容を、作成者が個人的に要約し、ポイント的に添えたものです。
※ 「用語や記号」について:学習内容の範囲や難易度の指標として 学習指導要領で示されているものです。
※ 「学習過程の活動例」について:学習指導要領で「数学的活動」という名目で指示されている内容の要約です。こちらは先生など指導者向けといった色の強い指示内容ですが(そもそも指導要領なので指導者向けなのでしょうが…)、つまり授業内容に大きく関わってくることは必須なので、家庭学習にも役立つと思います。
【ご注意事項】
※ ご紹介する単元名や項目名は、学習内容の意味的なまとまりをご紹介するために、学習指導要領や子供達の教科書等を参考に、作成者が個人的にまとめたものです。学習指導要領や各教科書および参考書等での、実際の括り方や 用いられている名称とは 異なる場合もありますので ご了承ください。
※ 調査や要約等には 細心の注意を払い、出来る限り正確な内容となるよう努めていますが、あくまでも全て、個人の解釈です。内容を保障するものではありませんので、ご了承ください。
割合について(暫定版)
ここより、【変化と関係】領域での、「割合」が絡む部分について、4~6年での流れと解説を記載します。
※ この暫定版の間は、4~6年共通で、全くおなじ内容を記載しています。
算数用語「割合」の一番根本的なこと
「割合」は、算数用語としての意味と、日常語としての意味が サラッと混在しています。日常語としては「割合=比」の意味でよく用いられていますが、そこだけにとどまらず、「割って比べると~」的なイメージを含む意味を幅広くカバーしています。その傍らで、算数用語として、その同じイメージの中から、ピンポイントに的を絞った意味を表す用語として働いています。やっかいなのは、その混在の現状があまり自覚されていないこと。その上で、算数の教科書内でも、算数用語と日常用語が混在している場合があること。この二つかな、と思います。
算数用語「割合」には、もっと直観で掴みやすい別名があります。その別名は「率」です。「割合」と「率」の使い分けは、国語的に見た時や社会的に見た時に、こんな状況や背景で使われるときはこちらが使われやすい、といった傾向はありますが、そちらでさえ、境界は曖昧です。算数的には、もはや全く同じ「数」です。
数や量は表していない。順番も表していない。ある数と他の数とを比べた結果、つまり「数と数との間にある関係」を表している「率」という数。これこそが、算数用語「割合」です。その一番根本的なところです。1年生から学んでいる数の使われ方の種類には「数量」「順序」がありますが、算数用語「割合」は、これに次ぐ「数の種類の3番目」です。「数量」「順序」「割合」で、数の使われ方の3大種類です。
そんな「割合(=率)」は、4年生でいきなり出てきたワケではなく、乗法の中では、「〇倍する」という表現で2年生から出てきました。しかし、〇個と見ることと〇倍と見ることの根本的な違いを学ばない低学年の間は、「〇倍だ!」と言われても、何もピンと来ない子が大半だと思います。
(来る子もいるかもしれません。作成者はこの根本には、当ブログで算数のまとめを初めて、1年以上経ってからようやく辿り着けました。(辿り付くまでの間の、表面的で紛らわしい解説については、ここでも改めてお詫び致します。)低学年で学んだ時点で、何となくでも〇個と〇倍の違いを掴み取れる子には、競っているわけではありませんが、押しも押されもしない完敗です(^^;)。)
この辺りについては、以下のnoteコラムにまとめていますので、よろしければご一読下さい。(2年生から関わることなので、2年生コラムとして公開しています。)
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《コラム》 「乗法と倍」 は何が違う? ー 三番目の数「 割合」 の初登場 ー(算数2年生 - 数と計算より)|イノママ
こんにちわ、訪問ありがとうございます! 今回も、算数2年生の内容に関係したコラムをお送りします! 今回で2年生コラムは最終回です。そんな今回も「数と計算」領域より、『「乗法と倍」 は何が違う? ー 三番目の数「 割合」 の初登場 ー 』です...
4・5・6年生での割合
乗法の式「 一つ分 × 幾つ分 = 全体 」において、3年生までは、「一つ分」も 「幾つ分」も、「数量」という数である場合について、逆算である除法を学んできました。
4年生からは、「一つ分」か「幾つ分」、どちらかに「割合(=率)」という数がくる除法を学んでいきます。その どちらが「割合」になるかで、次からの①②のように、大きく分かれます。
①「幾つ分 」が「割合(=率)」(※この場合正式には「何倍分」)
まずは、「被乗数 × 乗数 = 積」の乗数側、即ち「一つ分 × 幾つ分」の「幾つ分」側が「割合(=率)」の場合を考えます。こちらは、除法としては4年生からですが、乗法では2年生から出てきています。 A×〇=Bが、Aを〇倍するとBになる、を表している時、の、この〇倍の〇いう数になります。この場合は、日本語表現では、「幾つ分」ではなく「何倍」となります。
この時のAとBには、まんじゅう何個とか牛乳何mLとか、何らかの「数量」が来ることがほとんどです。そして〇は、何の数量でもない、もとの数Aと 比べたい数Bの 比べた結果であり「AとBの関係を表す数」です。この〇こそが「割合(=率)」という数です。
AとBは同種の数が来るので、このとき「割合」は、単位がない数となります。例えば「3個×4=12個」 →「 4=12個/3個」、単位も約分されて辻褄があいます。
★4年生
4年生で学ぶのは、この①の意味での「割合」のみです。この場合の「割合」とは、先ほどの A×〇=B で見ると、〇倍の〇という数のことでした。こちらを全て文章にすると、Aを 基準とする量、Bを ある量 として、「基準とする量Aを 〇倍すると ある量B」と言えます。これは、視点を「基準とする量A」側に置いた文章表現と言えます。なので、語順が変わって「ある量Bは 基準とする量Aの何倍 」などとなっても、「何倍」にかかる所有形容詞は「基準とする量Aの」です。
同じ状況を、視点を「ある量」側に移した表現に変えると、A×〇=B の〇という数は、「基準とする量Aに対する、ある量Bの割合」と言えます。今度は逆に、語順が変わって「ある量Bの 基準とする量Aに対する割合は 〇」となっても、「割合」を修飾している所有形容詞は「ある量Bの」です。この辺りは、算数というより もはや国語です。
同じ状況でも、視点が変われば 表現も変わります。視点、いわば主語が変わったので、式も変形します。さらにもはや、国語と言うより国語と英語のMIXです。「A×〇=B」→「〇=B/A」。この式を文章にすれば、「割合(=率)」の意味は、「割合〇は、基準とする量Aを1と見た場合、ある量Bは いくつにあたるのか を表した数」ともなります。
つまり、基準量Aと、比べたい ある量B(即ち比較量B)を、このように比べた結果の数が、割合〇。このように割って比べる、という比べ方ルールで、その比べた結果の関係を表す数を、算数用語「割合(=率)」と言います。値は「比較値÷基準値」となります。
4年生は、乗法の式の意味「 一つ分 × 幾つ分 (何倍) = 全体 」が、そのまま 「基準量× 幾つ分(何倍) = 比較量」となったことを、抵抗なく感じられるような場合のみで「割合(=率)」を学びますので、まだそこまで苦しく感じないかもしれません。
いやむしろ抵抗がある場合ってどんな場合よ?という疑問が湧くかもしれませんが、それは次の5年生で登場します。
★5年生
5年生では、「割合=比較値÷基準値」の定義を正式に学びます。4年生から同じことを学んでいるのですが、そちらはジャブで、この式を正式に学ぶのが5年生。それだけならさほど構える必要もないかもしれません。
4年生より難易度がグンと上がるのは、〇倍の〇が1より小さくなる場合でしょう。そういう場合、乗法の式の演算操作をおはじきか何かで考えて意味をこじつけるだけなら「 一つ分 × 幾つ分 = 全体 」でも捉えられます。が、状況は概ね「 全体 × 幾つ分 = 一つ分」となっています。
分かりにくいので、例を考えます。12個の0.25倍は3個。乗法の演算の意味としては、「一つ分という塊におはじき12個でも並べ、それが0.25倍で、全体3個になりました」と、苦しいながらも こじつけられなくもないです。が、現実の状況ではほぼ、12個の方が全体です。全体で12個のガチャクジ引いて当たりは3個だった、この方が、はるかに違和感のない現実です。乗法にすると、全体の数なら12個が積なのかな、と 思ってしまう子もいるかもしれませんが、2年生から習っている乗法の式の、「積」ではなく「被乗数」の場所、「一つ分」を意味するハズの場所に、状況的な「全体の数」がくる場合。これが、圧倒的に多い「○倍の○が1より小さくなる状況」です。
この時、式だけでも混乱しそうですが、1より小さい その〇倍の〇、つまり「割合(=率)」の数字〇に、独特の表し方が使われることが一般的です。独特の表し方、とは言え、世界共通の超メジャーな表し方ですが。
例をもう少し分かりやすい数字にして、100人の 0.25倍が 25人、としましょう。「割合」は0.25です。これでもよい、と言えばよいのですが、0.25は小さくてイマイチ扱いにくいから、ちょっと工夫しましょう。まず1を百に分けて0.01。0.25を、その0.01が幾つ分あるのか、で捉え直して表現してみましょう。そうすると、0.25は、0.01が25集まった数なので、25ですね。『1を百に分けて捉え直した「割合(=率)」』で25。そう、お馴染みの百分率です。単位%をつけて、25%と表現します。全体100人の25%が25人、です。25%は、百分率ではなく素のままの「割合(=率)」という数だと、0.25です。
多くの子が苦手とする百分率は、根本的にやっていることは4年生と変わりません。つまり「割合(=率)」であり、値は「比較量÷基準量」です。「基準量の○倍は比較量」の関係でもあります。ただ、その基準量に、状況における「全体の数量」を持ってきた場合、○倍の〇は大概1以下となり、数が扱いにくくなります。そんな時に、利便性から用いられることが多い「割合」の表し方、これが百分率です。ちなみに、「全体を100とした時に ある量は幾つか」という意味とも同意ですね。同じことなので、考えやすい方でOKです。乗法の式の意味「全体」と、状況的に意味する「全体」が合わなくなることもあり、子供が混乱しやすい単元だと思います。
★6年生
6年生では、例えば「3個の4倍が12個」という関係について、同じ関係を視点を変えて大きく俯瞰したような見方に変わる「比」を学びます。ここの説明では特に、算数用語と日常用語の「割合」が混在するようで、やっかいかもしれません。
6年生で「比」の定義の際に 「割合」という言葉がでてくることがありますが、4・5年生での「○倍の〇という数が割合だよ」、この意味としてだけで理解しようとすると、「比とは割合のこと」と言われても子供は混乱するでしょう。ここで「比」の説明に「割合」という用語が出てきたら、そちらは日常用語の意味としての「割って比べた結果」的な意味の「割合」が混ざってきている場合もあるようです。
ところで正確には、算数用語としての「割合(=率)」は、比べた結果の、その関係を表す「数」であり、「比」は それらの「関係」のことである、という違いもあるようです(が、どうやらあまり厳密に区別されて用いられてはいないようです)。
「3個の4倍が12個」の「3個×4=12個」の 12個の3個に対する関係を表す「数」である「割合」は4になりますし、12個の3個に対する「関係」全体は「12:3」という比になります。この時、この比の「比の値」は4となり、算数用語「割合」の数そのものでもあるので、実は比の説明に「比とは割合」と出てきた場合、その「割合」を日常用語として捉えても、算数用語としてとらえても、実は理論に綻びはなかったりします。(「比の値」については下記のまとめに少し詳しく記載してあります!)この一連のシステム、誰が最初に考えたのでしょうね、天才ですね(-o-)。
★割合と比のまとめ
それではこの章の最後に、「割合」と「比」の違いに焦点を当てて、改めてまとめます;
< 割合 >
A×〇=Bが〇倍を意味する時の〇です。どこに焦点をあてるか、で、様々な文章表現ができます。式も、基準量Aと比べたい量(比較量)Bとして 〇=B/Aとも出来ます。こちらの式だと、Aの〇倍がB、より、『○は、二つの数量が どのような倍数同士で存在しているかを比べた数であり、「基準量を定めて その量を1として」表した「数」』という説明が合います。
その「基準」ですが、比べ合う数量のどれかに置かれる場合と、それらの数量を合わせた全体に置かれる場合とがあります。もちろん、比べ合う数量が、とある量と それを含めた全体である場合もあります。どちらであっても、全体に基準がおかれた場合、割合は1以下となることが多く扱いにくい数字になるので、「1を百に分けて、その0.01が幾つ分かと捉え直して表した割合(=率)」である「百分率」という表し方が用いられます。そんな百分率の単位は「%(パーセント)」です。「全体を百として捉えた時にいくつになるか」という見方も出来ますが、つまりは同じことなので、考えやすい方で考えればOKです。
※「%」は「割合(=率)」の単位です。測定で用いてきた物理量の単位達と違い、「関係」という概念の単位なので、明確な「1」を定めようがありません。よって国際単位系単位ではありませんが、世界的な単位であり、国際単位系の補助単位、という位置付けらしいです。
< 比 >
「割合(=率)」を成立させているそれぞれの数量の値を、「どこかを基準にすることなく俯瞰的に」表した「関係」です。「割合」は「数」であるのに対し、「比」は「関係」全体を指すらしいですが、そこはあまり厳密に使い分ける必要はなさそうです。
基準を1とする縛りがないので、一番簡単な整数で表されるように処理されることが一般的です。
※ そして、比「比較量B : 基準量A」即ち 「 B : A 」のときの B/A という値が「比の値」です。比の値を〇とすると 〇=B/A は まさに算数用語「割合(=率)」。A×〇=B のときの○倍の〇とも言えますし、どちらにしても、つまり「割合」。ここで改めて考えていくと、日常用語としては「割合=比」なことも多いですが、つまりは算数用語「割合」も結局「割合=比の値」。『「その比」という「関係」を「数」で表した値である「比の値」』が結局「割合」なので、矛盾しないことになりますね。)
※ 最後に、「比の値」について補足です。
日本やアメリカで使われている除算記号は「÷」ですが、世界的には「/」が優勢みたいです。ですがこの二つだけではありません。比を表す この「:」を使う国も珍しくないとのことです。
ならば「:」も除算記号と見れば、「B:A = B ÷ A = B/A」はただの翻訳であり、全て同じことを言っています。昔習ったロゼッタストーンを思い出しました。結局、記号が違っても、「比」とは「除法」であり「分数」であり、これが「比の値」である、という見方も出来ます。
(こちらについてはもう少し調査して、「6年生の項目詳細」公開時にそちらに記載します!)
②「一つ分」が「割合(=率)」
次に、5年生から登場する「異種の2量の割合」を見ていきます。
上記①の「〇倍の〇という数が「割合(=率)」」とは また違います。「〇倍の〇」から離れないと、「異種の2量の割合」は掴めません。ただ、この「異種の2量の割合」という言葉は、教える大人達が使う用語です。子供達は「単位量あたりの大きさ」などの単元名で学ぶので、むしろここも「割合」、と捉えて悩むことはないかとは思います。
繰り返しますが、「○倍の〇」とは別物ですので、切り離さないと捉えられません。が、もっと大元となる根本的なところの正体は同じです。
まず、何が同じで、何が違うのか、を見ていきます。「割合(=率)」は、数量や順序と違い、「数と数との関係」を表す数です。ここは揺らぎません。絶対的に同じところです。
そして「○倍の〇」と違うところは、乗法の式の意味「 一つ分 × 幾つ分 = 全体 」において、「 一つ分 」と「 幾つ分」の、どちらがその「関係を表す数」なのか、です。乗法の式を より一般的に「被乗数 × 乗数 = 積」として、『 被乗数と乗数のどちらが「数量」などで、どちらが「割合(=率)」なのか』が、完全に違うところです。
例えば、1箱3個入りのまんじゅうが4箱あったときの「3×4=12」は、捉え方により、そのどちらにも捉えられます。状況だけで決まるのではなく、あなたがどう捉えるか、です。
例えば、まんじゅうの個数のみにロックオンします。1箱の中身が もとのまんじゅうの個数。全てのまんじゅうの個数は、「もとのまんじゅう3個の4倍が12個」と表せます。「3個の4倍で12個」つまり「3個×4=12個」。4は、3個と12個の関係を表す「割合(=率)」という数です。2年生から学んでいる、乗数が「幾つ分」ではなく「何倍」を意味する、『「一つ分」「の何倍」=「全体の数」』という乗法の意味の見方になります。
①に記載した通り、3個を移項すれば「4=12個/3個」となり、単位は約分されて消えますので、このときの「割合(=率)」は単位の付かない数です。まんじゅうの個数同士の「割合」、「同種の2量の割合」といえますので、単位は約分されてなくなるのです。
(強引に400%と表現すれば、「割合の百分率での表し方」での単位は付けられますが、素の「割合」という数、としての単位は消えます。)
では、箱の数と 全てのまんじゅうの個数に着目すると?
被乗数である「一つ分」は、今まで学んできた「一つ分の数量」ではなく、「箱一つ分とまんじゅうの個数との関係」という見方になります。和菓子屋さんで、お品がきを見ながら「手土産に持っていくまんじゅう欲しいんだけど、このキレーな箱、幾つ入り?」と聞いた場合で考えます。店員さんは「こちらは1箱3個入りとなります」と答えてくれました。1箱も3個も まだ全く用意されていません。この時点では、店員さんは、まんじゅうでも箱でもなく「1箱3個入り」という関係を提示してくれたのです。「じゃあ4箱くださーい」となったときの、箱の個数からまんじゅうの個数を計算する式の意味は;
「1箱3個入りという関係」× 「4箱分」=「12個」
となります。
①と違い、「数と数との関係」を表しているのは、被乗数である「一つ分」の方です。逆に、何らかの「数量」を表しているのは、 「箱の数」を表している乗数、「幾つ分」にあたる数の方です。このときの「関係」は、①の、まんじゅうの数同士であった「同種の2量の関係」ではなく、まんじゅうの数と箱の数、という、「異種の2量の関係」です。そう、これが、「異種の2量の割合」です。「単位量あたりの大きさ」という名前で呼ばれても同じです。それが「数量」ではなく、「ある種の量の単位量を考えて、その単位量につき、もう一種の数量の大きさは 幾つあるのか、という関係」を表す数であることに変わりはありません。
この、被乗数側が「割合(=率)」のとき、①とは違い、単位は約分されず、この素の「割合」という数は、単位のない数にはなりません。「大きさの方の数量の単位/単位量だとする方の数量の単位」がそのまま「その割合の単位」となります。
この時のまんじゅうなら、数式は「3×4=12」→「4=12/3」、単位を付けて「4 個/箱=12個/3箱 」。12/3側の単位は約分出来ませんので、これがそのまま「割合」4の単位となりますね。
ただ、一般的に、「被乗数側が割合」という この場合を、まんじゅうで論じることはありません。突き詰めて考えれば 「1箱3個入り」も関係ですが、①の「3個×4=12個」の見方と混在させて捉えるでしょうし、日常生活は算数・数学のみでなく、様々な状況要素のミックスです。深く考えなくても、欲しいだけのまんじゅうが、正しい金額で変えればOKです。3はまんじゅうの数量か、箱とまんじゅうの数量同士の関係の数か、などより、手土産なら、お相手の好きな味か、もらって嬉しいお洒落な箱か、などの方が遥かに大事です。
被乗数側が、関係を表す「割合(=率)」という数である。こちらを意識して考えるのは、一般的には「明確な1の量が定められた物理量」が絡んでくる場合です。「単位量あたりの大きさ」 の「単位量の方」あるいは「大きさと単位量の両方」に、こういった物理量がくる場合が、圧倒的に多いかと思います。その両方が、〇個や〇箱・〇枚・〇本… などなどなど、『1という単位の量の大きさが定められていない、「数詞」という文法品詞を用いて数えるもの』同士では、あまり考えません。
(〇人、が絡んでくる場合は、生活の中で多少あるかもしれませんが…。)
なので、算数でも、一般的な状況で役立つよう、一般的な「異種2量の組み合わせ」で学びます。教科書のこの単元の部分に、まんじゅうは来ません。来るのは、「大きさが人数で、単位量は単位面積」や「大きさが長さ(即ち距離)で、単位量は単位時間」が代表格です。前者は「人口密度」、後者は「速度 (小学生だと「速さ」)」と呼ばれる、『数と数との関係を表す「割合(=率)」という数』です。その数と数が異種のため、両方の単位が約分されずに残り、それがそのまま、その素の「割合」という数の単位です。
最後に:日常用語「割合」と算数用語「割合」より
日常用語「割合」は、比のことでもあります。算数用語としてより、「割合=比」として、日常用語として使われることの方が多いかと思います。「醤油と酢の割合は~」などは、まさに「比」ですね。
そして、それだけではなく、割って比べる的なイメージを含むものを、名詞として、時には副詞としても、幅広くカバーして用いられています。「割合簡単だった」などは、「実際の難易度と、想像していた難易度を、割って比べたら小さな値となった、つまり簡単だった」というような まどろっこしい意味を、「割合」という、もはや副詞となっているこの単語1つでカバーしています。
そんな日常用語「割合」がカバーする広いイメージの中の1点に、算数用語「割合」があります。
これは、放送業界の用語「巻く」のような状況かもしれません。放送業界でこの用語が「急ぐ」的な意味で使われていることは有名です。(これは「フィルムを巻く」などに由来するという説もありますが、諸説ありです。)が、この業界で「巻く」が使われた時、必ずこの意味というワケではないでしょう。むしろ、ケーブルとか、資材を束ねる紐とか、普通に「巻く」ものも他の世界よりも多そうです。この世界の方達は、今の「巻く」が、一般的な日常語と業界用語、どちらの「巻く」なのか、その都度、状況などから瞬時に判断している日々なのでしょう。
「割合」も、同じように、一般的な日常語と算数用語が混在する中で、今の「割合」がどちらの「割合」なのか、都度 的確に判断しないといけない状況ですね。
(「比の値」まで追って意味を考えていくと、ある意味、算数用語「割合」も「比」のことになる、とも言えますが、多くの小学生は、まだそこまで考えないと思いますので…(^^;)。)
そんな判断がラクに出来るようになるため、もっと短い言葉で、それぞれの「割合」を説明して、共通点と違いを簡潔に子供達に説明したいのですが、ここまでの内容が、まだ長文で…m(_ _)m。サイトリニューアルの傍ら、子供用の分かりやすい「割合」の教材が作れないものかなー、と模索中です。
参考文献
〇 「割合」について 次の論文を参考にしました ;
熊倉啓之、國宗進、柗元新一郎(2023) 『割合と比の関係に焦点を当てた割合指導の在り方』静岡大学教育学部附属教育実践総合センター.
(※リンク先ページの下部「SURE:静岡大学学術リポジトリ」にて一般公開されている上記論文を 拝読しました。)
以上となります。「割合について」はいずれ記事を分けて読みやすくする予定ですが、ひとまず「単元と項目」と合わせて載せており、読みにくくてすみませんm(_ _)m